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【ライブレポート】京都大作戦2022(DAY1)[2022/08/01]

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 京都・宇治にある京都府立山城総合運動公園・太陽が丘特設野外ステージで7月2、3日、9、10日の計4日間に渡って、10-FEETが主催する「京都大作戦~今年こそ全フェス開祭!~」(以下、大作戦)が開催された。今年はイベント開催15周年、そしてバンド結成25周年を迎えるアニバーサリーイヤー。一昨年はコロナ禍の影響で開催そのものが中止、昨年は4日間のうち前半2日間は開催されたが、後半はあえなく中止に。今年こそ念願の完走を目指そうと、“源氏ノ舞台”“牛若ノ舞台”を中心に52組のアーティストが出演。出演者、観客みんながバトンを繋ぎ、次のステージへ、そして今夏開催される全国の音楽フェスへ。いくつもの伝説を作り上げながら、思いを繋げた4日間の軌跡をまとめてみた。

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 会場に到着すると、歴代のイベントポスターの展示や京都らしいフードやグッズ展開などもあり、開演前からお祭り感満載の雰囲気に心躍る。大作戦は例年天候に悩まされることが多いが、そんなときは昨年から導入された“万能傘”が大活躍。ソーシャルディスタンスを保ちつつ日差しも避けられるとあって、多くの観客が活用していた。入場時にはオリジナルの除菌スプレーが配布されたほか、客席前方の立ち位置エリアへの入場には事前申し込みによる抽選が行われるなど、新型コロナウイルス感染への対策もばっちり。さらに、今年は各ステージで出演枠を各日1組ずつ減らすことで、観客の移動時間にゆとりが持てる仕組みに。まだまだ禁止事項など、制限は多いものの、少しずつライブシーンがコロナ以前に戻っていく気配も感じられる。一歩ずつ前へ、出演者も観客も心ひとつにして、大作戦を存分に楽しもうという気持ちが伝わってくる。

 待ちに待った初日はジリジリと肌が焼けるような酷暑のなか、ライブがスタート。源氏のトップバッター、打首獄門同好会が1曲目にセレクトしたのは「新型コロナウイルスが憎い」。集まった観客も出演者も裏方スタッフも、誰もかれもが同じ気持ちを抱く楽曲であっという間に会場に一体感を生み出していく。ラストは「フェスシーン、ライブシーンが大豊作になりますよう!」と、「日本の米は世界一」でイベント完走を祈願。共鳴しまくりのステージで開幕を盛大に盛り上げた。

 大作戦初出演となるSHISHAMO。「タオル」のご機嫌なギターリフに誘われ、会場一体がぐるぐる回るタオルの海に。「君と夏フェス」「OH!」など、大作戦ファンを唸らせるキラーチューンを連発し、観客を魅了していく。新曲「ハッピーエンド」ではエモーショナルなギターを鳴らし、感情を揺さぶる一面も。最後は東京スカパラダイスオーケストラのスカパラホーンズとともに「明日も」をコラボ! 初出演にしてインパクト大なパフォーマンスで魅せてくれた。

 東京スカパラダイスオーケストラは「閃光~hammer Ska」でさっそくTAKUMAをゲストに呼び込むと、そこからお祭り騒ぎがスタート♪ 10-FEETメンバーもそろい、スカパラ先輩の胸も曲も借りて、ステージ上で大騒ぎ。さらに、「美しく燃える森」でSHISHAMO・宮崎朝子が、「銀河と迷路」では今年は出演予定のなかった04 Limited Sazabys・GENも登場! ダイナミックなスカサウンドだけでも楽しいのに、次から次へとサプライズが飛び出し、観客は歓喜の拍手を送るのに大忙しだ。

 「楽しむだけでえーねんで。歌うアホウに観るアホウでえーねん」、ウルフルズはソウルフルなバンドサウンドで観客の熱量を高めていく。「ガッツだぜ!!」「笑えれば」、楽曲の多くは20年以上前に発表されたものだが、発表当時は生まれていないヤングなライブキッズたちが無我夢中で彼らが鳴らす音楽を全身で楽しんでいる。これぞ名曲! 「ええねん」では何度も繰り返される“ええねん”は魔法の言葉みたいで、今この場所にいること、全力で楽しむことを全肯定されているようで思わず涙が出てしまった。

 牛若ノ舞台にはLABRET、Suspended 4th、NAMBA69、夜の本気ダンスが登場。北九州発のHERO COMPLEXは「Feel so good」など疾走感あふれるバンドサウンドをぶつけていく。ツインコーラスは言葉の説得力を増大させ、まっすぐに心に刺さってくる。大阪・寝屋川発のUnblockは夢だった舞台に出られたことを喜びつつも次の夢へと繋げたいと、「永い夢」などを熱演。武骨ながらも凛とした歌声に心揺さぶられた。

 地元京都の盟友・ROTTENGRAFFTYは「切り札」からボルテージマックスのライブを展開。眼光鋭く会場をにらみつけ、声高らかに叫び声を上げる。バンドがピンチになったとき、いつだって10-FEETが手を差し伸べてくれたと感謝しつつも、「感謝の気持ちを込めて、お前ら全員皆殺しにしてやるからな!」とロットン流のお返しで重厚&爆音を浴びせ続けた。

 「これ、夢じゃないよな?」。HEY-SMITHはライブが始まって早々、メンバー全員が興奮を抑えきれない様子。それもそのはず。2019年は猪狩秀平(Gt/Vo)の緊急手術により特別編成のライブに。そして昨年、一昨年はご存じの通り。ついに今年、ようやくフルメンバーでの出演が叶ったとあれば、フルアクセルでブチかますしかない! 「I'm In Dream」など、次々にパーティーチューンを投下。「今日本気やぞ! マジやぞ!かかってこい!」、何度も叫ぶ猪狩の狂気的な煽りに全力で応える観客の姿が印象的だった。

 待ち望んでいた大作戦の初日、10-FEETの3人は「めっちゃ幸せや」と満面の笑みを見せる。「ハローフィクサー」「シエラのように」、何度も聴いてきた楽曲もこの場所で聴くと、より心に沁みる。「今日が最後やと思って」、そう語りながらTAKUMA(Vo/Gt)は優しさと照れ臭さ、ちょっと強気な歌声を混ぜこんで顔をくしゃくしゃにして声を届ける。何度もピンチを乗り越えてきたけど、明日も必ず開催されるかは誰だってわからない。それでも音楽に、ライブに助けられてきた彼らだからこそ届けられるものがある。新曲「aRIVAL」ではバンドの生命力を込めたような重厚感あるサウンドで観客を圧倒。ライブはその後、ロットンとのコラボや駆け足で楽曲を詰め込んだアンコールなど、いつも通りの彼ららしい和やかなステージで初日の幕が閉じた。

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10-FEET

文・黒田奈保子