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【インタビュー】ASH DA HERO[2022/08/04]

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ASH DA HEROがソロからバンドへ、第2章の幕開け『Genesis』を語る「この5人で夢をかなえていければ」

昨年9月にソロアーティストとしての活動を終了し、ASH(Vo)のサポートメンバーとしてステージを共にしていたNarukaze(Gt)、Sato(Ba)、WANI(Dr)にDhalsim(DJ)を加え、新たにバンドとして動き出したASH DA HEROが、8月31日(水)にメジャー1stアルバム『Genesis』をリリースする。第2章を告げるにふさわしいラウドでヘヴィな新作を引っ提げ、9月より新体制初の全国ワンマンツアー『ASH DA HERO LIVE TOUR 2022 "Genesis"』もスタート。アルバムタイトルさながら、新時代のミクスチャーロックバンドとして今まさに「創世記」を迎える5人が、その情熱と信念を語る!

「みんなのおかげで俺はまだ夢が見られるし、誰かの夢であり続けられる」

――ASHさんは元々バンド志向であったとは言え、ここまでキャリアを重ねてよく一からやろうと思いましたね。
ASH 現状を嘆くこと、今を憂うことは簡単なんですけど、残念ながら時は一切止まらずに進んでいく。立ち止まって頭を抱えているだけだと、過ぎ去っていく時を永遠に見逃していくだけになっちゃうから。「いつかバンドになったら絶対に面白い」というASH DA HEROのフェーズ2に移行するタイミングがどこかにあると思いながらずっと活動をしてきて、コロナが世界を襲ったとき、「うわ、マジか!」となったと同時に、「そうか、ここだ!」みたいに見えざる力が働いたというか。こういう状況だからこそ、絶対に音楽や歌の力が必要になる。我々は音楽を信じている人たちの力になれる。そう思ったらもう、早かったですよね。ガンガン動いて、1回振られて、みたいな(笑)。

――「これからは気合いを入れてサポートミュージシャンとして生きていくぞ」と、ようやく腹をくくったばかりのメンバーにアタックして、一度は断られ(笑)。
WANI バンドの加入を1回断ったのにまた電話が来て、集合場所の近くの公園に着くまでは、「絶対に断る!」と思ってたんですけど、熱い言葉がバンバン心に響いちゃって……気付いたら「やろうか」って言ってました(笑)。

――Dhalsimさんも、音楽をやめて田舎に帰ろうというタイミングだったと。

Dhalsim 本当にもう100%諦めてました。地元の友達に「俺、もう帰るわ」と言った1週間後とかにバンドに誘われて、泣きました。「音楽がまだできるんだ……」と思って。

――しかもDhalsimさんは、NarukazeさんやSatoさん、WANIさんのようにASHさんのサポートをしてきたわけでもない。でも、いますよね。その場にいないのに飲んでると話題に挙がるヤツって。その時点でもう勝ちですけど、Dhalsimさんはまさにそれですね(笑)。
ASH いろいろと話していくと、「え? そこと友達なの!?」とかいうことばっかりで、そりゃ俺の周りにDhalsimという名前がつきまとうわけだなと。だから、今まではたまたま会ってなかっただけで、絶対にいずれどこかで会っていただろうなって。LINEとかFacebookで「友達かも?」って出てたんじゃない?(笑)

――だからこそ、NarukazeさんからバンドにDJを入れる提案があったときに真っ先にひらめいた。そうやってついにこの5人がそろったと。
ASH 「こんな時代だからこそバンドで世の中を華々しく元気づけるぜ!」と言うと聞こえはいいけど、はたから見たらそんなのただの絵空事で、「もっと現実を見ろよ」みたいな話でもあるじゃないですか。でも、そんなことは百も承知なんですよ。そもそも、みんなに声を掛けて「無理無理」となったら、それで終わりだった。みんなのおかげで俺はまだ夢が見られるし、誰かの夢であり続けられる。「俺はまだ歌っていいんだ」という自信にもなる。メンバー、スタッフの皆さん、ソロの頃からずっと応援してくださっているファンの方、そういう人たちに俺も救われているんですよ。俺の描いた絵空事にいろんな色が加わって現実になっていく。それは自分一人の力では到底できないことだから。


「俺たちがやってることはヒップホップではなく、混じりっ気なしのロックなんですよね」

――今までは自分で書いて自分で歌うシンガーソングライターだったのが、バンドではASHさんとNarukazeさんの2人で制作する新たなスタイルになって。
ASH 自分には全くない発想がナルくん(=Narukaze)の曲にはあって、それをいかに自分がぶち壊せるかというのもあるし、逆にナルくんの音符の運びが美しいから、それを生かすためにはどの言葉がハマるのかとか……本当に毎回刺激的です。一人で曲を書いていたときは、曲を作ろうと思ってコードを探しているうちにメロディと歌詞がほぼ同時に出てくる、みたいな感じだったので、もらったメロディに後から歌詞をハメるような作り方とは違いますから。

Narukaze 一応、ざっくりメロディは書いて渡すんですけど、俺はASHに好きに歌ってほしいので全然壊してもいいと思っているんです。歌詞に関してはもう何も言うことはないし。

――ASHさんのボーカルスタイルの特徴として、ラッパーによるラップじゃない、ボーカリストのラップというか。発声の明瞭さと、詰め込み過ぎない言葉の量が絶妙だと思うんですけど、その辺は意識しているのか、自然とそうなるのかは興味深いところだなと。
ASH それはすごくうれしい質問ですね。どうしてもラップ=ヒップホップのイメージがあると思うんですけど、ラップというのはあくまで歌唱法の一つなんです。俺たちがやっていることはヒップホップではなく、混じりっ気なしのロックなんですよね。俺にとってラップはどっちかと言うと楽器で、リリカルな歌詞をビートに乗せるとなると、ラップという手法が自分の中ではしっくりくる。だけど、メロディも大好きなので、やはりサビとか印象的なフレーズには美しいメロディを使いたい。だから、ヒップホップの人たちがラップを使うのとはちょっと意味合いが違って、そこには明確な差があるのかなと。

――ソロの頃より、バンドの方がその点をすごく感じました。
ASH ラップが多用されているのは、むしろバンドになったからですね。ボーカルとして声という楽器でどうセッションするかとなったとき、ラップってみんなが奏でているリズムの狭間に刻んでいけたり、ジャストにハメられたりするので、音符と言葉で遊ぶという点でもむちゃくちゃ楽しいんですよ。

――楽器の話で言えば、DhalsimさんのDJは時にツインギターのような役割を担っていて、スクラッチ=効果音と言うよりはリフみたいな感覚で聴けますね。
Dhalsim 言ってしまえば、デモの時点でバンドとしては完成されているんです。だから自分の仕事は、100点を120点にする作業かな。もう一味加えて、もっとカッコいいものにする役割。

――ソロ時代にすでにサポート経験のある4ピースならある程度、予想がつきますけど、そこに不確定要素にもなるDhalsimさんが入ることによって。
ASH 要はオーガナイズド・カオス(=整備された混沌)が欲しかったというか、計算された暴走にスクラッチ=DJはドンピシャですよね。Dhalsimがいてくれるからこそ、いわゆるセオリー通りのロックバンドのアンサンブルにはならないので。


「バンドであるがゆえの味わい深さを今、踏み込んで感じられている」

――長年、サポートミュージシャンとして活動しながら、バンドへの並々ならぬ思いがあったSatoさんは、レコーディング一つでも発注されてやる仕事とは違う喜びや充実感があったんじゃないですか?
Sato 今のダルちゃん(=Dhalsim)の話にも通じるんですけど、みんながしっかり点を取ってくるというか、攻めるときのエネルギーや手数がすごいんですよ。だから逆に、自分はとにかくベーシックに徹して、いくときはとことんいかせてもらう。そういうポジション取りをすることで自分が自分をもっと生かせるというか。バンドだからこその味わい深さを感じられているのが楽しくてうれしくて。みんなサッカーでいうところのフォワードだから僕は一番後ろでルート弾いて支えようみたいな、引き算の楽しさも改めて見つけられたし。

WANI でも、一番後ろで一番エロいプレイしてるよね?(笑) だから逆に一番攻めてる気がする。

Sato フフフ(笑)。その両極を味わえるのがベースという楽器の面白さだと思っているんですけど、これでダルちゃんがいなかったら、また全然違うフレーズを弾いていたんだろうなと思ったり。いや~本当にバンドは面白いなって。

――WANIさんはドラムを1日中叩き過ぎてバグったみたいですけど(笑)。
WANI アハハ!(笑) もう自分のフレーズが全部飛んじゃうぐらい楽しかった。バンドでのレコーディングがすごく懐かしくて……。ナルくんのデモが「WANIさん、こういうの好きでしょ?」みたいな俺のルーツとかも全部打ち込んでくれて、そのドラムを聴いて「それそれ!」というようなことも含めて、結成当時から濃密な時間を過ごせています。

――先行配信されていた「Remember」みたいなメッセージ性の高い曲も、今だからこそだと思いますね。
ASH いわゆる新しい生活様式が今では当たり前になってしまって。けど、みんなフェスでダイブとかモッシュしてたでしょ? 暑い中、汗水垂らしてみんなで拳を上げて歌ったでしょ? ライブハウスでもみくちゃになって、「ヤバい、もう死ぬ……」とかハァハァ言いながら、ドリンクカウンターに並んで……そういう景色はきっとなくならないから、今まで築き上げてきたものを忘れてほしくないし、自分自身も思い出せるように残しておきたかったんですよね。

――これが過去の思い出じゃなくて、またそんな日が来るかもしれない。このアルバムからはASHさんの生きざまをビシビシ感じます。悟ったり諦めることはいくらでもできますけど、理想を追い求めることをやめてしまったら、もう進化できないし前進できない。
ASH 本当に。もちろん、理想だけで生きていけるほど世の中は甘くない。だからこそ、理想とか夢とか目標があるならぶっちぎってやらないとね。


「みんなと一緒にこの『Genesis』の世界をさらに広げていけるツアーにしたい」

――9月からはリリースツアー『ASH DA HERO LIVE TOUR 2022 "Genesis"』があります。このメンバーで旅に出られるのがまた楽しみですね。
ASH ですよね! 何かもう久しぶりだもん、ツアーをやるのも。ここ何年かは制限もあったので、こうやってツアーを切らせてもらえるのはありがたいですし、まずはアルバムを皆さんに受け取っていただいて、ライブで『Genesis』が完成する。みんなと一緒にこの『Genesis』の世界をさらに広げていけるツアーにしたいですね。

WANI ツアーの醍醐味って、初日と最終日でどれだけ変わっているかだと思っていて。それこそ、すごく仲が良くなってるかもしれないし、めちゃくちゃ仲が悪くなってるかもしれない(笑)。そういうことも全部楽しみです。

ASH みんなが尊重し合える、リスペクトし合えるメンバーなので、絶妙なバランスだと思いますね。ケンカも起こったら起こったで面白いんじゃないですか?(笑) でも、ステージ上でいつもケンカしてる感じもあるけどね。俺、背中で結構ヒリヒリ感じてるよ? ライブに来ていただければ、それをすごく感じられるんじゃないかと思います。

Dhalsim ひとまずはツアーに向けて音源を聴いてほしいけど、やっぱりライブとなったらアレンジが違ったりもする。それはもうその場所でしか聴けないものだから。今からツアーがすごく楽しみなんですけど、来てくれる人たちはそういう仕掛けみたいなものも楽しんでもらえたらいいなと。

Sato 僕はロックバンドがやりたくて、音楽もベースもそこが全部の原点なので思いが強いのもあるんですけど、「楽しい、気持ちいい」みたいなことを純粋に今、現在進行形で味わえているんです。さっきのASHの「Remember」の話じゃないですけど、それをそのまま届けたいし、そう感じてもらえたならシェアしていきたい。もちろんライブに足を運んでほしいし聴いてほしいのはあるんですけど、今はSNSとかもあるからお互いに届けやすいし、いろんな方法で「楽しい」をたくさんシェアしたい。それに尽きますね。

WANI ちょっと言い方は悪いかもしれないですけど、この5人って、やりたいことがやれなかった、もしくは諦めた人間の集まりだと思ってるんです。だからこそ、今後はそれを一つ一つ見逃さずにかなえていきたい。それこそZeppツアーをするとか、キャンプをするでもいいし(笑)。遊びも仕事も本気で、この5人で夢をかなえていければ。

Narukaze 俺、このバンドを始めてからの方が、メンバーみんなのことが好きになれたんですよ。前はサポート仲間だったり音楽仲間という意識だった。でも、一緒にバンドをやると、人間性だったり音楽以外のことも見えるじゃないですか。そこで嫌いにならなかった経験が、今まではあんまりなくて。だいたいがその……。

――バンドを始めると、「あ、こいつダメだわ」って思っちゃう?
Narukaze はい!(即答)
(一同爆笑)

Narukaze だから、みんなを好きになれたことは、自分の中ではすごく大きいというか。

ASH 多くの人が、ASH DA HEROというバンドをまだ知らないし、全貌が分からないのもあると思う。ただ、この5人はロックという枠だけに収まる気もしてないんですよ。時代をかき回しながら引っ張っていくバンドになっていこうと思っているので、ぜひ今後とも注目してもらえたらうれしいです!

取材・文:奥“ボウイ”昌史
カメラマン:井上翔

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ASH DA HERO LIVE TOUR 2022 “Genesis”
2022/10/16(日) 心斎橋BIGCAT