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【ライブレポート】ポルノ超特急2022(DAY2)[2023/02/01]

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 ROTTENGRAFFTY(以下、ロットン)が主催する「ポルノ超特急2022」(以下、ポル超)の2日目は前日とはまた異なる、屈強なロックバンドが顔をそろえた。この日は前日よりもぐっと気温が下がり、極寒の中での開催となったが、集まった観客らはお構いなし。身体から湯気を出しながら拳を突き上げ、ヘドバンにダンスに、感染対策やルールを守りながら思う存分、イベントを楽しんでいた。

 トップバッターの04 Limited Sazabys。1曲目からキラーチューン連発でフロアからは喜びのどよめきが聞こえてくる。会場の熱量を一気に沸点へと持ち上げると、「(今日は)ライブの猛者だらけ。イベントを加速させるためのトップバッター、ネガを忘れて生きる力でパンパンにして帰ってほしい」と、「midnight crusing」などポジティブな言葉に溢れたナンバーで観客の心を弾ませる。

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04 Limited Sazabys

 「(金閣は)ダラダラとライブしてたら立たれへんステージ。ここに立つからには!やるぞ!」。初金閣でのステージで、ライブハウスバンドとしての意地を見せつけてくれたのがHump Backだ。「拝啓、少年よ」、嘘偽りのない言葉が心に入り込んできて、ステージから目が離せない。「ときめかせたもん勝ち!」と、「がらくた讃歌」で魅せた彼女たちのステージからはこの日一番の頼もしさを感じられた。

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Hump Back

 SUPER BEAVERは「“すごい”ライブは観客の反応と合わさることで成立する」「(ポル超は)血の通ったフェスだからこそ、気合が入る」と、ライブに、フェスへの出演に懸ける想いを吐露。新曲「ひたむき」など、真摯に言葉を綴り、直球のロックを鳴らす4人の音に振り落とされないように、じっと前を見据える観客たち。その表情からは美しさすら感じられた。

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SUPER BEAVER

 「今日は思いっきり飛ばしていくぜ!」、その言葉通りHEY-SMITHはアッパーでハチャメチャだけど、突き抜けた楽しさが爆発したステージを連発。「お前の人生、好きなことして死んでくれ。人生、楽しんでくれよ」、猪狩秀平が想いを語った「Tide」。この日にこの曲を演奏した彼の想いを受け止め、観客はとことん彼らのライブを、ポル超を楽しみ、音楽に塗れる姿を見せてくれた。

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HEY-SMITH

 この日の銀閣ステージにはSHIMA、SHADOWS、RITTO、山嵐らが出演。なかでも、ポル超初出演のASH DA HEROは「Merry Go Round」など、自身の世界観をきっちりと魅せるステージングを披露。4年ぶりの出演となるSIX LOUNGEは「ロックンロールで熱々にして帰ります!」と、渋みを効かせた硬派なロックを鳴らすと、初出演のTETORAは「ステージに上下関係はない!」と、がむしゃらなパフォーマンスで確かなインパクトを残していった。

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ASH DA HERO

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SIX LOUNGE

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TETORA

 「オレたちの前では我慢しなくていいから。自分のために楽しんで」、Dragon Ashは一切のブレのないライブスタイルで観客を興奮の坩堝へと誘い込む。「百合の咲く場所で」など、攻撃的なミクスチャーサウンドに潜む美しく繊細なメロディが感情を揺さぶられ、感情を露わにするオーディエンスたち。爆ぜた瞬間の気持ちよさには懐かしさすら感じて、涙する観客の姿も見える。

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Dragon Ash

 THE ORAL CIGARETTESは「どんだけやれるか見せてくれ! 全員でかかってこい!」と、終始貪欲な姿勢でパフォーマンス。「BUG」など、攻撃的なバンドサウンドが鳴り響くなか、無邪気に狂気を曝け出す山中拓也の表情に目を奪われる。バンド×ライブハウス×観客の組み合わせで生まれるものがどれだけ愛しいものか、再確認するようなステージに大きな拍手が届けられた。

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THE ORAL CIGARETTES

 中指を立てて観客を煽りつつも、ストイックなライブパフォーマンスで観客を惹きこんだSiM。「FXXKFXXKFXXK」など轟音が鳴り響くなかでも、しっかりとドラマチックに作り込んだ世界観をぶつけていく。ライブシーンに向け、率先して言葉を発してきたMAH。この日も丁寧に言葉を届けつつ、やっぱり天邪鬼ぶりは健在で、悪魔降臨感の攻撃力高いライブで大いに楽しませてくれた。

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SiM

 2022年、ポル超最後のステージはROTTENGRAFFTY。予定していたセットリストを変えるなど、直前までバンドのベストを目指して調整を重ねていく彼ら。「人はハードルを越えて強くなる。次へ繋げる」、決められたルールの中で最善を見つけ、最上の音を届けていく。「THIS WORLD」「マンダーラ」など、侑威地、HIROSHIの渾身のビートに、NOBUYA、N∀OKIが互いに声を高め合い、最新型の“ロットン”を鳴らしていく。「音で生かして、音で殺す」の言葉通り、いつだって限界突破を目指す6人の姿は猛々しくて、全9曲を完走したあとには、観客はみな満面の笑顔に。少しずつ前へ進んでいく「ポルノ超特急」。来年はどんな姿で楽しませてくれるのか、今から楽しみでならない。

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ROTTENGRAFFTY

文・黒田奈保子