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【ライブレポート】台風上陸前日の暴風の中『長田大行進曲2018』が開催[2018/10/09]

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 昨年、ガガガSPのバンド結成20年を記念し、2日間に渡り開催された自主企画『長田大行進曲』。“今年も音楽で次に繋げて行きたい”という強い思いが生まれ、1日だけではあるが『長田大行進曲2018』の開催が実現した。神戸空港島・多目的広場内・特設野外ステージに全25組のアーティストが集結したのは、台風24号が近畿に上陸する前日の9月29日。終日降水確率90%以上という悪条件の中、開場時間の10時の時点で、大粒の雨が降っていて、会場入口はすでに足元田んぼ状態。長靴でないと歩けないほどの地面になっていた。そんな中、雨や風にも負けずに楽しんでやろうという音楽愛に溢れたお客さんが、ぬかるみの洗礼にひるみつつも次々と来場。
 
 昨年同様、神戸の地名が付いたNAGATA・SUMA(左右隣合わせに設置されたメインステージ)は、交互に演奏していく。昨年はメインステージの後方につくられていたサブステージのITAYADOは、今回は道路を挟んだ隣にある物販エリア近くに移動され、音かぶりの心配は軽減された。開場する10時前から早々にリハを開始し、最初の音を鳴らしたのはITAYADOステージのトップバッター花団。花団が始まる頃には徐々に雨が弱くなり、準備は万端!小雨の中、上半身裸で薄いビニールを巻いただけの姿で挑むカズ(vo)の勇姿に大爆笑が起こる。「さぶいぃー!」と時おり弱音を吐きながらも、ステージを降りて、泥を身体に塗り客とハグ。ちぎったビニールを投げたりとやりたい放題!「雨を楽しもうってコンセプトです!」と今日一日の楽しみ方のお手本のようなライブで盛り上げた。その後もITAYADOステージでは、タイムスケジュール通りに全9組が熱いライブを繰り広げた。
 
 メインのNAGATA、SUMAステージには通常は屋根はないが、この日は、楽器や機材類を守る程度の簡易的なテントが設置されていた。
まずは、ガガガSPのメンバーが登場し、開会宣言。風が強くなってきたら中止になること、後半、セットリストや持ち時間の変更が予想されることがアナウンスされ、「でもできる限りベストな状態で見ていただきます!」とコザック前田。そしてイベント初の芸人出演者となるハリウッドザコシショウが呼びこまれると大歓声が。コザック前田は高校時代、ハリウッドザコシショウに顔が似ていると言われ、あだ名が「ザコシショウ」だった(笑)というエピソードも飛び出したり。そして「はじめてよろしいでしょうかー!」と高らかに開会宣言が行われ、伝説となる祭が幕を開けた。
 
 NAGATAステージのトップ、POTの演奏が始まるころには、なんとピタリと雨がやんでいた。「とりあえず雨止ましといたんで!大阪屈指の晴れバンドPOTです!」という織田(vo&g)の言葉が頼もしい。『EPIC』、『Sunday』など雲を蹴散らしていくかのようなハッピーなロックチューンを次々と投下すると、本当に風もおだやかになってきた。そして、『I scream fuck'n day』では、今日ひとつめの長田大行進曲名物・巨大サークルが出現。グルグルまわったあとは、軽やかなステップで思い思いにはじけるオーディエンス。足元は腰くらいまで泥がハネてすごい状態だがみんな笑顔だ。他のフェスで見るような危険度は皆無で、とてもピースフルで安全なのが長田大行進曲のサークルの特徴かもしれない。ラストは『Supra』でラララの声がこだまし、その頃には雨がポツポツと。晴れバンドを証明したライブとなった。

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 SUMAのトップは、2年連続出演となったオメでたい頭でなにより。今回は、サブのITAYADOステージからメインステージへめでたくランクアップ!メンバーが登場する頃には、さっきとは打って変わってザザ降りの雨に。「これくらいのハプニングあったほうがおもしろいんちゃうか?全力でかかってこい!!」と赤飯(vo)が煽れば煽るほど雨が強くなる。負けじと雨でボトボトのタオルを振り回すオーディエンスのパワーもハンパない。「オレらになると雨が強くなるのは台本通りやから!」とこの状況を楽しむような爆裂ラウドサウンドが鳴り響いた。

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 NAGATAの2番手は、昨年もNAGATAのトップバッターとして盛り上げてくれたKNOCK OUT MONKEY。「ガガガがやると決めたら、俺らやオマエらは全力で遊んだらえーんちゃうか!」と熱いメッセージを投げかける。雨雲に対抗するようにベース&ドラムが地鳴りのように這うと「どうせ濡れるんやったら汗かけー!」の言葉をきっかけに、巨大サークルが何度もはじけ、田んぼでシンガロング&ダンス!『Paint it Out!!!!』のころには横なぐりの雨に。最後にはみんな雨と汗で全身泥まみれになっていた。

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 かりゆし58も昨年に引き続き登場。KNOCK OUT MONKEYで戦場のようになった会場を『アンマー』などの名曲で、あっという間にピースフルな空気で満たしていく。心の奥に届く歌とあたたかいサウンドが冷えた身体を温めてくれるようだ。「今、伝説と呼ばれるフェスの真っ只中にいます。思いっきり自分の掴み取った自由にまみれて帰ってください!」と前川真悟(vo&b)が最後に歌ったのは、
『オワリはじまり』。まさに今というかけがえのない瞬間を胸に刻みこんだ時間だった。

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 NAGATAの3番手は神奈川からやってきた4人組、藍坊主。晴れた日に聴きたくなるような疾走感のあるサウンドの中、エモーショナルに風を受けながら熱唱する姿はなんともドラマチック。15周年を迎え尚、青春の瞬きのような輝きを放つ真っ直ぐなロックチューンを全力で届けてくれた。

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 続いてはガガガSPと同じ時代を戦ってきた盟友のSTANCE PUNKS!TSURU(vo)が「なにかあったらパンクを聴いてくれ!クソみたいな音楽が君たちをきっと救うのだからね!」と叫び、『クソッタレ解放区~クソッタレ2~』をかっこよくはじめようとした時。『ザ・ワールド・イズ・マイン』じゃね?と欣ちゃん(g)に曲順間違いを指摘され、きちんと順番通りに演奏しなおす場面も(笑)。最後は『モニー・モニー・モニー』でライブハウスさながらにパンクの衝動を爆発させた。

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 リハからキレキレの演奏で圧倒したのは東京・八王子から参戦のハルカミライ。1曲目の『君にしか』でいきなり客上にダイブ!全身泥だらけの皮ジャン姿というロックな客を見つけ、客の上に担がせると「こいつはロックだ!」と叫ぶ橋本学(vo)は、のっけから戦闘モード。後ろに落下し一瞬で白いTシャツの背中一面が泥だらけに。そのまま降り立ち、客の中で熱唱を続け、「表面もドロだらけにして帰ります!」と宣言すると泥水地面に何度もスライディング!ナイスファイトっぷりにオーディエンスは大喜びだ。『アストロビスタ』では、しっとりとした歌い出しがエモく、泣きのメロディが胸を締め付けてくる。そんなギャップもたまらない。「晴れバンドはPOT」だけじゃないぜ!」と、次世代の爪痕をのこしたのだった。

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 「声だせるか長田―!」雨はやんでいるが、徐々に風が強くなってきて、みんなに疲労感が見え始めた頃。元気を注入してくれたのは175Rだ。極キャッチーなキラーチューン『ハッピーライフ』でつかみ、シンガロングでいきなり盛り上げていく。「とびぬけて売れたやつ(曲)やるか?」というSHOGO (vo)の言葉に大歓声がおこると、大ヒット曲『空に唄えば』を披露。いつもは太陽が似合う曲だが、暴風の中で聴くのもなんだかドラマチックで新鮮。忘れられない景色となり、風に負けない大合唱で一体感をつくりだした。

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 SUMAステージでハリウッドザコシショウのネタがはじまる前に、台風の影響による強風でステージ上の簡易テントが危険ということで撤去する時間が設けられた。前方に人力で降ろすために一旦お客さんを片方ずつに移動。これ以降のバンドは持ち時間が10分ほどカットされることがコザック前田自身からアナウンスされた。「みんなが(演奏)できるようにご理解お願いします!」会場からは、エールを込めた大きな拍手が起こる。
 
 風の音がゴウゴウと聞こえる中(雨は降っていないのが救い)、満を持して登場したのが、いつもの黒ブリーフスタイルに長靴を履いたハリウッドザコシショウ。誇張しすぎたモノマネの題目を書いたフリップはいつものスケッチブックサイズだ。「おもしねえの?」と飛んで行きそうなフリップを抑えるザコシショウ。どんな状況も笑いに変えてしまうのはさすが。R-1決勝ネタにもあった野々村議員や最近の傑作、ハズキルーペCMの渡辺謙などモノマネ全14ネタで暴風をもろともしない大爆笑をかっさらっていった。

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 予定より20分ほどマキではじまったセックスマシーン。ここからは残り6バンドが暴風雨になる前に演奏を終え、ガガガSPに繋げることを目標に出演者・スタッフが一丸となり走り出した。ザコシショウがハケたと同時に飛び出した森田剛史(vo)は、リハを飛ばし本番を始めると宣言。『サルでもわかるラブソング』で本番さながらに盛り上げながら「こっちボリューム↑ーーー!」とシャウトしながらするサウンドチェックははじめて見た(笑)。鉄板の『君を失ってWow』では、ステージを降り、PA前まで来ると、そのままシートエリアを超えた後方までオーディエンスの一部をひきつれ大移動!ハルカミライ・橋本に対抗し、泥にダイブ!担がれてステージまで帰還するというナイスファイトを見せた。

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 セックスマシーンの勇姿を見守りながらSUMAステージで準備万端の打首獄門同好会もサウンドチェックをサクっとこなし、駆け足でスタート。スピード感のあるハードコアサウンド+食べ物中心の生活に密着した歌詞の絶叫がクセになる。最後は「やる予定じゃなかった曲をやります」と『フローネル』を。まさにここにいる全員が帰ったらすぐやりたいこと=風呂はいって速攻寝る計画!ニヤけてしまうほどのナイス選曲で盛り上げた。

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 セックスマシーン以降は、完全にステージ上のテントが撤去されているため、雨が強まれば逃げ場はなく、演者も楽器もズブ濡れになってしまう。しかし雨が降らずに持ちこたえているのは、会場全体のイベントを完遂させたいという想いが空に伝わっているからなのか?時間が経つにつれ、どんどん風が強くなる会場。雨は基本やんでいるが、突然強く降り出し数分で止むという不安定な空の中、登場したのはSA。「ロックで人生台無しだー!」と叫び、『runnin' BUMPY WAY』では、「若い衆やれるか?」と煽ると巨大サークルができ、裸足で走り回るオーディエンスも。50歳超えのメンバーと若者が世代をこえて音楽でつながる喜びをかみしめていた。

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 これまでの先輩たちの熱演に刺激され、リハから気合たっぷりの表情を見せたのは、初登場のHump Back。「ガガガSPに愛をこめて!」と叫ぶといきなりヒット曲『拝啓、少年よ』をお見舞い。この日唯一の女性バンドだが、髪を振り乱し演奏する姿やパンクスピリッツは可愛らしい見た目とはギャップありまくりの男らしさにあふれている。「青春パンクにわたしは人生のすべてを教えてもらいました!」ロックに捧げる眩しいほどの情熱をはきだす林萌々子(vo&g)。たった4曲だったがエモーショナルに駆け抜けた。

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 薄暗くなり、照明が映える時間帯に登場したのは、長らくの出演オファーがやっと叶ったという怒髪天!小降りの雨が降り出す中、『オトナノススメ』を歌いながら雨のシャワーを浴びる増子(vo)はなんだか気持ちよさそう。『酒燃料爆進曲』など酔いどれの曲が続き、オイオイコールで拳があがり続ける。雨風関係なく繰り出されるマイペースな大人パフォーマンスは、唯一無二のオーラを放っていた。

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 ここまで各バンドの協力で約1時間マキとなった17時45分頃、SUMAステージのトリに現れたのは我らが四星球。“田島大行進曲”と題し、会場後方からネタを仕込み登場。「(持ち時間を)10分削るなんてライブバンドばっかりだからできること。めっちゃええフェスやん!」とイベントに賛辞を贈ると、今日イチの歓声と拍手が。「ガガガSPみたいに一瞬に想いをめっちゃ詰め込んだライブします!」と感動のMCもありつつ、昨年同様、ガガガSP田嶋(d)を終始イジりたおす『タジ男』(ガガガSP「弱男」カバー)では、いつものフリップで歌詞解説。持ち時間は少なくてもこういうところは端折らないのが彼ら。さらに歌詞解説付きで『すべての田嶋クソ野郎』 (STANCE PUNKS「すべての若きクソ野郎」カバー)まで(笑)。北島(vo)は、「もし来年、長田大行進曲が開催されなかったら俺らが引き継ぐ!」と宣言。ガガガSP愛に満ちた笑えてしっかり感動もさせる20分は、本当にあっという間だった。

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 予定より1時間以上もマキで、無事最後のガガガSPがNAGATAステージにスタンバイ。前方は隙間なく埋め尽くされている。雨は降らずにもっているものの、寒さと風で逃げ場のない過酷な状況の中、ほとんどの人が帰らずに最後まで見届けようとしている一体感には感動を覚える。コザック前田が出演者、ここまで残ってくれたお客さんに感謝を述べると、「この状態こそが青春!」と『青春時代』からスタート。『線香花火』の大合唱は何度聴いても感動的で涙線がゆるんでしまう。後方まで拳があがる景色を見て、曲終わりは帽子を取り、深々と一礼するコザック前田の姿がさらに胸をアツくさせる。

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 アンコールでメンバーが登場した瞬間、シャワーのような雨が数時間ぶりに降り出した。ライトに照らされた雨の線が前田に振りそそぎ、その中で『明日からではなく』を熱唱する姿はまるで映画のワンシーンのよう。終幕宣言のあとには、途端に暴風雨となり、間一髪でイベントを終了できた形となった。まさに奇跡!すべてのバンドとお客さん、スタッフ、会場にいるすべての人たちがガガガSPをリスペクトする気持ち、イベントを成功させようという一体感がなし得た奇跡を見た。泥も雨も風も込みで「長田大行進曲」なのか?というようなフェスマジックしかない貴重な1日。そんな時間を共有できた喜びを誰もが胸に抱き、伝説に新たな1ページが刻まれたのだった。

取材・文/岡田あさみ

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LIVE INFORMATION


ガガガSP
「長田行進曲2018」-神戸編-

2018/12/24(月・祝) 神戸ハーバースタジオ