【ライブレポート】京都大作戦2025(DAY1)[2025/10/01]
10-FEETが主催する「京都大作戦 2025~暑さも雨もお茶のこ祭祭~」(以下、大作戦)が、京都・宇治にある京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージにて、7月5、6日の2日間にわたり開催された。2007年の開始以来、源氏ノ舞台、牛若ノ舞台(以下、源氏、牛若)から数々の伝説を生み出してきたイベントだが、今年も猛暑の灼熱のなかで素晴らしいステージが次々と繰り広げられ、観客の脳裏にも肌にも鮮やかに焼き付いた。出演アーティスト計29組、来場者約2万人。熱気に包まれた2日間の模様をお届けしたい。
初日のトップバッターを務めたのは、2017年に初出演して以来5度目となるAge Factory。ついに丘を越え、源氏のステージに立った彼らは「全部確かめに来たんだ!! ついてこい京都大作戦!!」と、新曲「rest/息」から気迫に満ちたステージングで観客の視線を奪う。「これは夢じゃない、そうだろ?」、憧れを現実にし、ここからまた歩みを停めることなく前進する姿に、観客の興奮は瞬く間に沸点へと達した。
2人体制となって初の「大作戦」となるdustbox。「今まで一番半端ねぇ大作戦、見せてくれよ!」と「Hurdle Race」からフルスロットルで駆け抜けていく。「1年で1番緊張するイベント」と語るほど、大好きで、気合いの入るステージだと愛を伝える2人。おなじみの「ヒトリセカイ」のカバーでは10-FEETの3人も参加し、やりたい放題はしゃぎ放題で、フロアを大いに沸かせた。
その“やりたい放題”の極みともいえるのが四星球だ。「ちょんまげマン」では「『大作戦』が千年続きますように!」と願いを込めると、“ちょんまげマン”に扮したTAKUMA、舞妓姿のKOUICHI、“せんとくん”なNAOKIが登場。「コラボは何でもやるよ」と宣言したばかりに、ここぞとばかりに主催者を巻き込み、ともに大きな笑いの渦を作り上げた四星球。「最高の日になります!」、ハッピーな予言は見事に的中したようだ。
Ken Yokoyamaは「パンクロックを鳴らしにきました」と「Maybe Maybe」から全力のシンガロングを巻き起こす。スコンと弾けるような底抜けに明るいパンクロックサウンドが、心に空いた隙間をハッピーで埋めていくよう。「楽しんでるかい?」、ジリジリと太陽が照り付けるフィールドを気遣いつつ、「好きな人へ届いてほしい。僕はみんなの気をひきたい!」と、現在進行形のバンドの音を響かせ、観客の心をしっかりと捉えた。
牛若ではRAINCOVER、カライドスコープ、SPARK!!SOUND!!SHOW!!、おとぼけビ~バ~、INKYMAP、the奥歯‘s、KUZIRAが、源氏に負けじと、より濃く、密度の高いステージで観客を魅了。さらに鞍馬ノ間では毎年恒例のバスケットボールパフォーマンスのほか、今年初登場となるマジックショーも展開するなど、音楽以外のエンタメ要素も大賑わい。
ROTTENGRAFFTYは「オレらを殺す気で掛かってこい! なんで毎年大作戦に出れてんのか、証明したるわ!」と、暑さに気を緩めた体に喝を入れるようなスリリングなパフォーマンスで観客を圧倒。「D.A.N.C.E.」「THIS WORLD」と、重厚なサウンドを次々と炸裂させ、終盤には新曲「暁アイデンティティ」を連発。京都、そしてライブハウス出身バンドとしての誇りを示す圧倒的なステージだった。
西日が眩くフィールドを照らすころ、SUPER BEAVERが登場。「本気でやるから、本気で来いよ!」と「人として」から、涙を誘うというより、“互いを活かす”ような深いり繋がりを描くパフォーマンスを披露。「そこにいるんだろう? 音楽しようぜ!」。丘の上の向こうまで誰ひとり漏らすことなく、バンドの音、想いを届けようとする姿に、観客は高く拳を掲げて応えた。
MAN WITH A MISSIONは「絆ノ奇跡」で三味線とコラボし、「Fantasista」(Dragon Ash)のカバーを交え、粋な滑り出しをするも「マダオ元気ガ足リナインジャナイデスカ?」と、さらに「super stomper」のカバーで10-FEET愛を炸裂♪ “らしさ”あふれるアレンジに観客も大盛り上がり。「オモクソ楽シンデ!!」と煽りに煽って放たれた「Emotions」ではドラマチックかつダイナミックなサウンドでフィールド一面が“ガウ”ポーズ!
初日のトリ、10-FEETのステージを迎えるころには緋色と宵闇が混ざり合う美しい光がフィールド一面を照らしていた。いつものバンドタオルが掲げられた景色。これを見ただけで感極まるものがあるが、「JUNGLES」からダイナミックなバンドサウンドが響いた途端、誰もがこの日一番の笑顔を見せていた。「super stomper」ではMAN WITH A MISSIONと、「その向こうへ」ではROTTENGRAFFTY・N∀OKI&NOBUYAと。仲間たちと大いにはしゃぎつつ、座長たる悠然としたパフォーマンスで観客を盛り上げていく3人。MCでは「すっとぼけて生きていこう」「楽しめ人生! 人生なんて全部ギャグや!」、TAKUMAが柔らかく優しく投げかける言葉に涙する観客も見える。「幸せになれよ、時間かかってもいいから!」。この瞬間を噛み締めるように歌い、涙し、破顔の表情を見せる観客たち。「京都大作戦」初日、嬉々とした時間はあっという間に過ぎていった。
10-FEET
文・黒田奈保子