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【ライブレポート】京都大作戦2023(DAY1)[2023/08/01]

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 10-FEETが主催するロックイベント「京都大作戦2023~今年は可能な限り全フェスに参加してくだ祭!~」が、7月1、2日に京都・宇治にある京都府立山城総合運動公園・太陽が丘特設野外ステージにて開催された。今年は2日間にわたり、計29組のアーティストが出演。“源氏ノ舞台”“牛若ノ舞台”だけでなく、“鞍馬ノ間”でのバスケットボールのパフォーマンスが復活し、大声での大合唱OKやマスク着用なしなど、昨年までのコロナ禍での多くの制限を撤廃。これでライブを存分に楽しめることになったわけだが、もちろん“例年通り”になるわけはなく、10-FEETも出演者も観客も誰もがこの数年で音楽の楽しみ方を進化させてきた。その集大成ともいえる、新しく生まれ変わった「京都大作戦」。2日間にわたって繰り広げられた冠絶もののステージの数々をお伝えしたい。

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 初日の天気はあいにくの雨、とくれば大作戦名物の“田植え”の始まりだ。開演前から源氏ノ舞台客席はすでに泥だらけだが、観客はみんな気にすることなく恒例のラジオ体操で体を温めつつ、開演を待ちわびている。

源氏のトップバッター、04 Limited Sazabysが選んだ1曲目は「Buster call」。イントロが鳴り響いた瞬間、観客が大きな歓声を上げフロアに大きな高揚感が渦巻く。新しい一歩を踏み出す、そんな想いを込めた楽曲を選んだ彼らの心意気にも心震わせられる。「大事な一音目を託されたことが光栄」と、刺激度の高いパフォーマンスでイベントを加速させ、開幕へエールを送る。

緩急凄まじい楽曲陣でフロアを沸かしたのはFear, and Loathing in Las Vegas。曇天を蹴散らすように鋭く光る照明の元、「Just Awake」などハイ&ポップ、ヘビー&タフなバンドサウンドで圧倒していく。「踊って笑って楽しんでいこうぜ!」、その言葉通りに歌って踊ってはしゃぎ倒す観客はみな破顔一笑になっている。

昨年の出演キャンセルからリベンジとなったクリープハイプ。「みなさん濡れてますか? それじゃ都合が良いのでSEXの歌を歌います」と、「HE IS MINE」でおなじみのコールを。心地よく耳をくすぐるメロ、体を揺らすグルーヴに観客はただただ音にまみれ恍惚の表情を見せる。10-FEETに感謝とリスペクトを込めた「Fin feat.クリープハイプ」など、らしさ溢れるパフォーマンスで魅せてくれた。

サウンドチェックから飛ばしまくっていたのはヤバイTシャツ屋さん。「京都大作戦がどうやったら盛り上がるか知ってます!!」と、頼もしい言葉の通り、「かわE」などアッパーなキラーチューンを連発。高速リリックにハイトーンボイス、軽快なドラムにポップなメロと、やるからにはとことん“楽しい”を詰め込んだライブに観客は大熱狂。

Ken Yokoyamaは「パンクロックやりにきました。喰らってくれ」と、「Punk Rock Dream」から高揚感たっぷりのバンドサウンドで、雨の鬱々とした気分を晴らしていく。この瞬間でしか味わえない高揚感を誰もが感じていて、「大好きだわ、このフェス」と言葉が漏れる瞬間も。ラストは病気治療のため出演キャンセルとなったチバユウスケに向け「Brand New Cadillac」で心震わすロックンロールをかき鳴らし、頼もしい姿をみせてくれた。

牛若ノ舞台では、かずき山盛り、KUZIRA、東狂アルゴリズム、ANARCHY、Wienners、バックドロップシンデレラ、FOMAREが出演。誰もがライブハウスの熱狂に野外の開放感を加味した唯一無二のパフォーマンスで観客を夢中にさせていく。特に注目は牛若のトリを務めたFOMARE。「出し切ってってください!」と、「Frozen」など疾走感高まるバンドサウンドで4年ぶりの出演で大きく成長した姿を見せてくれた。

dustboxは「最高なんだが!?」とステージから見える太陽が丘の光景に大興奮! アドレナリン放出しっぱなしのハイなテンションで「Riot」などショートチューンを連発。一瞬の隙も見せられない怒涛のパンクロックに興奮したのは観客だけでなく、「ヒトリセカイ」のカバーでは気付けば10-FEETメンバーもステージに乱入し、やりたい放題で笑顔の絶えないステージに。

雨が激しさを増すなか、地元・京都の盟友ROTTENGRAFFTYは「解き放て! 泥んこでいてまえ~!」と、“田植え”にトドメを刺すように「ハレルヤ」からフルスイングのパフォーマンスでぶつかっていく。重厚なリズム、鋭利なギター、そして2人の轟音にも似た咆哮に観客は感情を大いに解放。突き上げた拳は波のように太陽が丘に広がり、トリの10-FEETへエネルギー満タンのバトンを託してくれた。

いつしか雨も上がり、10-FEETを迎えるバンドタオルが太陽が丘いっぱいに広がっている。マイクには聴こえないけれど、その光景を見たTAKUMAは思わず「ヤバイな…」と声を漏らす姿が見える。記念すべき初日のトリ、その1曲目に選んだのは「ヒトリセカイ」、時を経るごとに愛おしさが増し、心揺さぶられる名曲だ。観客はともに歌い、想いをひとつに重ねていく。「そこにいるんやろ? 一緒にやりにきたんやろ?」と観客を煽りつつも、「ほな行こか~」、この言葉だけで何とも言えない安心感が生まれてしまうから不思議だ。The Birthdayの「LOVE ROCKETS」をカバーしチバユウスケへエールを送ると、そのまま強靭なビートが大きな会場に映える「第ゼロ感」へ。アンコールではROTTENGRAFFTYら仲間も加わり、わちゃわちゃとしたシーンにほっこり♪ 初日を終える安堵感からか、メンバー3人も柔らかな笑顔を見せ、大団円で初日は無事終幕となった。

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10-FEET

文・黒田奈保子