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【ライブレポート】京都大作戦2023(DAY2)[2023/08/01]

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 2日目は初日から一転、太陽の光がジリジリと焼け付く酷暑に。毎年のことながら、天候に振り回される大作戦だが、今年は歓声OK、マスク着用も不要とあって、気分はとても清々しい。

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 「朝イチ、共に歌ってくれますか!」、トップバッターのWANIMAは「ともに」から太陽が丘中に大合唱を響かせた。太陽の光以上に眩しいポジティブさ全開のステージに、誰もが気持ちのよい笑顔を見せながら拳を突き上げ、歌い踊る。この日一日が最高のものになる、そんな予感しかしなかった。

「平成ペイン」からキラーチューンをぶつけ、大作戦に爽やかな風を届けてくれたのはgo!go!vanillas。「心のタガを外して楽しんでって」、そんな言葉を投げかけられたら、とことん付き合うしかない。いつもはスマートな彼らもこの日はよりアグレッシブなギターロックをかき鳴らし、初の源氏ノ舞台を大いに盛り上げてくれた。

うだるような暑さのなか、ACIDMANは心の芯から沸々と湧き上がる熱情を音にしていく。「最後の国」のSEでじわじわと期待値を上げると、そのまま「造花が笑う」へ。アグレッシブなロックサウンドに感情を爆発させる観客たち。昨年の出演キャンセルからリベンジとなった彼ら、「RIVER」をカバーするなど、同期&同じ3ピースバンドの10-FEETへの想いを音に代え、唯一無二の音世界を届けてくれた。

「記憶のなかの大作戦を塗り替えていこう! 最大の戦闘力でかかってこい!」、マキシマム ザ ホルモンは「「F」」で一瞬にして太陽が丘を混沌へと変えてしまう。観客が密集したエリアからは蜃気楼すら見えるほどだ。誰もかれもを強制的に絶頂へと導くマンパワーの凄さは圧倒的で、気付けば10-FEETや仲間も加わり、お祭り騒ぎのステージに。

「今年イチ暑い太陽!夏の始まりということでOK?」、ORANGE RANGEは「以心電信」「上海ハニー」などヒットチューン連発。軽快なラップ&ポップでキャッチーなメロで観客の心をガッチリと掴んでいく。もちろん最新型のレンジもと、新曲「解放カーニバル」をライブ初披露♪ 初見の観客の心も鷲掴みするさすがのパフォーマンスに拍手喝采が送られた。

源氏ノ舞台の熱狂を越えるべく、この日の牛若ノ舞台も見逃せないライブが連発。おとぼけビ~バ~、a crowd of rebellion、w.o.d.、Hakubiといった、ライブハウスシーンで頭角を現している猛者ばかり。なかでも注目のENTHは「他との違いを叩きつけにきた!」と意気揚々としたステージを披露。NUBOは音楽を鳴らせる幸せを音に代え、ammoは大作戦初出演ながらも「今日をやるだけ!」と純度の高いロックンロールを打ち鳴らしていく。

大作戦に欠かせない10-FEETの盟友といえば、Dragon Ashの名は外せない。「(これまで我慢をしてきた分)むちゃくちゃご褒美をもらってほしい」と、「New Era」など優しくも昂然たるロックサウンドで大作戦を待ちわびていた観客へ音のギフトを届ける。バンドとオーディエンス、互いの昂りは相乗効果を生み、太陽が丘に大きな喜びの渦を生み出していった。

「激しい音楽は好きですか?」、その第一声から「VENA」でド級のラウドロックを響かせたcoldrain。重厚感も圧力も凄まじいリズムはまるで鈍器のようで、広い野外だというのに体がビリついてしまう。美麗なメロ、ハイトーンからデスボにシャウト、スクリームにグロウルと多彩に変化するボーカル、その全てに魅せられ、会場には巨大なモッシュピットが発生。トリを前にして、観客の体力を根こそぎ奪うような圧巻のプレイを見せつけた。

アーティストはもちろん、観客からもたくさんのバトンを引き継いだ、2日目の10-FEETのステージはとにかく愛に満ちていた。1曲目に選んだ「その向こうへ」、TAKUMAの叫びはいつも以上に心をひりつかせ、感情をざわつかせる。「80歳のジジイになったときに、2023年の2日目はヤバかったなって言えるライブがしたい!」、そう言って渾身のプレイで鳴らす「SHOES」「2%」。KOUICHI、NAOKIのリズムが太陽が丘に大きな波を作り上げていく。観る者の心を優しく包むように想いを語った「深海魚」、Kj(Dragon Ash)も加わり大合唱となった「RIVER」、仲間たちと歌った「VIBES BY VIBES」と、10-FEETの魅力を全て詰めこんだナンバーに誰もが大はしゃぎ。ラスト「CHERRY BLOSSOM」、歓声に包まれ、笑顔で溢れた会場は多幸感いっぱいに包まれていて、コロナ禍の辛かった思いを昇華させ、これまでにない新しい景色が目の前に広がっていた。最新型の京都大作戦を見事に打ち出してくれた2023年。来年はどうなるのか、今から楽しみで仕方がない。

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10-FEET

文・黒田奈保子